「もう一度死ねば、成仏できるかもしれない」
主人公の前で何度も自殺を繰り返す、記憶喪失の幽霊少女・久我山栞。
『久我山栞の死様手帖』は、ショッキングな設定と都市伝説、そして少し不思議な幽霊たちとの交流を描いたホラーノベルです。
一見すると猟奇的な作品に見えますが、その本質は「死」と「想い」に向き合う王道のミステリー。マルチエンドの先に待つTRUE ENDは、きっと忘れられない余韻を残してくれるでしょう。
今回は、そんな『久我山栞の死様手帖』の魅力と気になった点を、ネタバレを控えつつご紹介します。
皆様、死様、見てて——
タイトル情報 / 評価
| おすすめ度 | 3.5点/5点 (ややおすすめ!) |
| こんな方におすすめ! | ・幽霊の登場する作品が好きな方 ・ホラー入門作品を探している方 ・短めの作品をサクッとプレイしたい方 ・マルチエンディングの作品が好きな方 |
| 簡易評価 | 【魅力/長所】 ・自殺を繰り返す幽霊という斬新な設定 ・感動のTRUE END 【欠点/短所】 ・主人公の描写に乏しい ・カシマレイコの掘り下げ不足 |
概要
『久我山栞の死様手帖』は、Laplacian2から2026年4月に発売された全年齢ノベルゲームです。
本作は名前以外の記憶を失った推定女子高生の幽霊である“久我山栞(くがやましおり)”が、主人公の目の前で自殺を行っているシーンから始まります。

「もう一度死ねば成仏できるのではないか」と考え、カジュアルに自殺を繰り返す久我山栞。
そんなぶっ飛んだ思考を持つ栞と共に行動し、失われた彼女の記憶や死因を探っていく……というのが本作の物語の概要となっています。
- 栞の自殺を書き留めていく死様手帖
- 色々と危うい存在である幽霊たちとの出会い
- 怪異が蔓延る異様な街で出くわす都市伝説の数々
上記が本作の主な見所となっていますね。
本作をプレイしたユーザーのコメント(X、エロゲー批評空間より抜粋)は、
面白かった!ロープライスでも十分に満足感があり、読後感も良い
幽霊ならではの身体を張った調査や都市伝説が絡んでいる所が好み
カシマレイコさんLOVE
といった感じのコメントが見られますね。
それでは、私が感じた本作の魅力と欠点を以下に述べていきます。
魅力

自殺を繰り返す幽霊という斬新な設定
本作のメインキャラとなる久我山栞は幽霊ですが、自分の死因を探るために自殺を繰り返すという、なかなか斬新な行動を見せてきます。
主人公の撮った写真付きで、彼女の自殺の様子を毎回記録していくのです(怖い……w)。

自殺を繰り返して手帖に記録を収めながら主人公と街を巡ることで、彼女は次第に生前の記憶を思い出していきます。

「彼女の生前の特徴→家族関係→とある事件の話」といった感じで、徐々に核心に近づいていく構成が上手でしたね。
“自殺を繰り返す幽霊”という強烈なフックから始まる、彼女の死を巡る一連のミステリー。
そこに隠されている秘密はなんなのか。思わず真相を追いたくなる見事な作りでした。
マルチエンドの先に訪れる感動
本作はエンドが12個あるマルチエンディングですが、真エンドといえるTRUE ENDはかなり涙を誘われました。
本作のイメージビジュアルや自殺する幽霊というホラーじみた設定から、感動の結末まで持ってくるLaplacianさんの力量。シンプルに脱帽でしたね。
メインの久我山栞はもちろん、ギャル子さん、司書さん、神様などのサブキャラも過不足なく物語に絡ませた、よくまとまっているシナリオでしたよ。

TRUE END以外のエンドもネタに振り切ったものから救いようのないものまで色々あり、選択で結末が変化するノベルゲームの醍醐味を味わえる内容で良かったです。
中でも、専用のエンディングまで用意されている「都市伝説エンド」は必見。めっちゃシュールで笑いました。
以上が本作の魅力でした。
欠点
主人公の描写が希薄で、あまり掛け合いを楽しめない
本作は主人公のセリフや心情描写がほとんどありません。
そういった作りのゲームのほぼ全てに言えることではありますが、とにかく目の前の人物が喋り続けるため、そこの違和感は結構強いですね。
特に図書館にいる幽霊の司書さんは中盤以降の進行役を担っており、それに伴ってかなり口数が多くなっています。「こんなに話す人だったっけ……?」と妙な疑問を覚えてしまったほどでした(物語の進行上、仕方ないところはありますが)

なので、キャラの掛け合いを楽しみたい方にとっては、やや物足りなく感じてしまうかもしれません。
ちなみに本作の主人公がほとんど喋らない点については、特に理由はない……とかそういうわけではありません。
なぜそうなっているのか。それについては、実際にプレイして確認してみてください。
カシマレイコの掘り下げ不足
本作は都市伝説好きの幽霊少女、カシマレイコの掘り下げがやや不足しているように感じます。

ある程度彼女の人柄は把握できるのですが、彼女の過去や背景がいまいち見えてこず、やや掴みどころのないキャラとして落ち着いてしまったのが気になりました。
まあ結末のシーンで彼女に関する描写は少しあるのですが、それもやや突飛な内容となっており、「結局この少女はなんだったんだろう?」といまいち腑に落ちなかったんですよね。
サブキャラなのでそこまで指摘するほどのことではないかもしれませんが、カシマレイコは個人的に結構好みのキャラでしたので、もっと描いてほしいと思ってしまいましたね。
以上が本作の欠点でした。
本作は斬新で突飛なフックのわりには物語の着地は王道なので、そこに関して「思っていたのと違う」と感じる方はいるかもしれません。
サイコホラーな作風を期待してプレイすると肩透かしを食らう可能性が高いので、そこは留意しておきたい点ですね。
読後感はなかなか良かったので、結末は個人的には好きでしたけども。
カジュアルなホラー作品を楽しみたい。最後には感動できる物語を読みたい。
そういったものをお求めの方には、おすすめの一作です。

Q&Aコーナー
Laplacianの作品で、本作からプレイするのはアリ?
アリです。
本作は他と繋がりのない独立した作品ですので、本作からプレイして大丈夫です。
推奨攻略順1とかある感じ?
ありません。
本作のENDは12種類ありますが、どれを先に見た方がいいとかはありませんので、自由にプレイしていただいて大丈夫です。
TRUE END以外のENDを見ると、攻略のヒントが軽く説明されますので、それも参考に進めていきましょう。
関連作品は何がありますか?
記事投稿時点では特にありません。
関連作品が発表されたら、また追記しようと思います。
……個人的にはカシマレイコ関連で何かあってほしいなとか思ったり。
あなたの知っている都市伝説を教えて
チョ○ボールの金のエンゼル、実は存在しない説(ガチで見たことない……)。
その他、何か気になることやご質問などあればお気軽にコメントください!
総評
『久我山栞の死様手帖』は、「自殺を繰り返す幽霊」というインパクト抜群の設定で興味を引きつけながら、最終的には王道かつ心温まる物語へと着地する、完成度の高いホラーノベルでした。
都市伝説や怪異が蔓延る独特の世界観、徐々に明かされていく久我山栞の過去、そして12種類のエンディングの先に待つTRUE END。そのどれもが丁寧に作られており、低価格作品ながら高い満足感を得られます。
主人公の描写の薄さや、一部キャラクターの掘り下げ不足など気になる点もありますが、それを差し引いても読後感の良さは大きな魅力。
サイコホラーやグロテスクな恐怖を求める方には少し方向性が違うかもしれません。しかし、ホラーが苦手でも楽しめる作品を探している方や、最後にじんわり心を温めてくれる物語を読みたい方には、自信を持っておすすめできる一作です。
「怖い」よりも「切ない」が心に残る――。
久我山栞との不思議な数日間を、ぜひ最後まで見届けてみてください。

おすすめ度(詳細評価)
| 久我山栞の死様手帖 | |
|---|---|
| 万人向け(30%) | ホラーで突飛な設定なので、やや玄人向け。(3.5/5) |
| プレイ時間(15%) | 10~15時間前後(オート想定)。 価格帯のボリュームとしては妥当な範囲(4/5) |
| 令和の価値観(15%) | ファンタジーなので該当なし |
| システム(20%) | 特に不便を感じないシステムだが、CGの差分切り替えが鑑賞に不向きな仕様(4/5) |
| 私がおすすめしたいか(20%) | かずきふみさんのファンはぜひ。(3.5/5) |
| 総合 3.5/5 | |

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