1人を殺して5人を助けるか。そのまま5人を見殺しにするか。
1人を捨てて5人を取れば、「1人を自分が殺した」という責を感じることになるものの、多くの命が助かる。
5人を見殺しにすれば、多くの命がなくなるが自分は傍観しただけなので責を感じにくい。
有名なトロッコ問題2ですね。
『アンラベル・トリガー』は理想と現実の狭間に苦しむ少女や、
復讐に燃える主人公のお話を描いた作品です。
少女が選ぶのは理想か、現実か。
『アントリ』の魅力をネタバレなしでご紹介していきます。
――ここが平和を巡る最前線
『アンラベル・トリガー』のネタバレあり感想はこちらのサイトに掲載しております。
アンラベル・トリガー:タイトル情報 / 評価
タイトル | アンラベル・トリガー |
ブランド | Archive |
公式ジャンル | 表記なし |
発売日 | 2024年3月29日 |
おすすめ度 | 4.5点/5点 (かなりおすすめ!) |
こんな方におすすめ! | ・トロッコ問題などの倫理的な課題に興味がある方 ・テーマ性の高いシナリオゲーをプレイしたい方 ・テンポの良い進行で物語を楽しみたい方 ・ファンタジー世界を舞台とした作品が好きな方 ・主人公が社会人の作品をプレイしたい方 |
簡易評価 | 【魅力/長所】 ・目的に向かってひた走るシナリオ ・3大国の大人な政治的駆け引き ・権謀術数に長けた秘密警察トップのヒロイン ・細部まで凝った演出(目パチ口パク) ・美麗なグラフィック 【欠点/短所】 ・動作が重く、人によってはバグが発生 ・おまけで観賞できないCG多数あり |
こちらは私が実際に持っているモノ(通常版)になります。
概要
『アンラベル・トリガー』は、Archive3から2024年3月に発売されたエロゲです。
公式略称は「アントリ」ですね。
アントリの世界はオリジナルのファンタジー世界となっており、
- ジーミイル共和国連邦
- カージ合衆国
- ヴィルカール帝国
- フロスト中立特区
という4つの地域を主な舞台としています。
各国の民は種族ごとに分かれているのが特徴。
連邦にはアニマー、合衆国にはヒューム、帝国にはヴァンプという感じですね。
この中では特にヒューム(人間)とヴァンプ(吸血人)の仲の悪さが目立ちます。
緩衝地帯であるフロスト中立特区は異なる種族の人が集まってくるため、
「争いの絶えない治安の悪い地域」となっているのが現状。
この現状をなんとかしようと奔走するのが、
本作のメインヒロインである“ミリセント・フリード・レオンハルト”です。
本作の物語はトリガー探偵事務所に勤める主人公の“榊カイ”が、
ヴィルカール帝国第一皇女の“ミリセント”と出会うところから始まります。
カイは幼馴染の“楪紗衣奈”を捜し出すことを目的としており、
その過程で、先に述べたミリセントを筆頭に様々な人物と関わっていきます。
- カイが紗衣奈を追う理由
- ミリセントの抱く理想、対立する現実
- ソフィアの失くしたもの
- レイリの復讐相手
などが本作の見所となっていますね。
そんな本作のネット上のコメント(X、エロゲー批評空間より抜粋)を見てみると、
何が起こるのかと気になり続ける展開の良さ
眩しい理想だけど、手を伸ばしてみたいと思える作品
ソフィアの笑顔には満点をあげたい
と、非常に高評価であることがうかがえます。
なぜ「アンラベル・トリガー」は高く評価されているのか?
その理由となる本作の魅力を3つ、以下に具体的に述べていきます。
魅力
先が気になるシナリオ
アントリはシナリオがかなり面白いです。
カイとヒロインたちにはそれぞれ明確な目的があるため、
目的達成に向かって進んでいくストーリーには強い牽引力がありました。
ミリセントは「理想」
ソフィアは「失ったもの」
レイリは「復讐」
彼女達がこれらを求める過程で生まれる熱く切ないドラマは、こちらの感情をとことん揺さぶってきます。
特にミリセントとソフィアの葛藤は見ている私も苦しくなるほどでした…。
彼女達の心の揺れ動きに注目してほしいです。
また、本作は政治的な駆け引きの描写も秀逸。
裏工作を用いる本格的な大人のやり取りといった感じで、見応えがあるんですよね。
各国の代表が集まって会議を行うシーンも緊張感があり、どのような結果に転ぶのか気になりました。
そして、本作のシナリオは構成、進行についても非常に練られています。
アントリのシナリオはアニメの話数区切りのようにエピソードが分かれていますが、
ラストの引きが強く、かなり気になる終わり方をします。
なので、つい先を見たくなって止め時を見失ってしまうんですよね。
進行に関しては、カイのビジネスパートナーであるソフィアが頻繁に依頼を投げてくるのでやることがなくならないですし、依頼をこなす過程で路地裏に入れば99%物騒な事態が生じて、もれなくバトルに突入します。
以上のような工夫が施されている本作は、
話を読ませる力が強く、プレイヤーを退屈させない作りとなっています。
「内容・構成・進行」の全てが綿密なアントリのシナリオは、非常にレベルの高い仕上がりでした。
気合の入った演出
アントリは演出も気合が入っています。
立ち絵の目パチ口パクは常時行われますし、
セリフ途中の表情変化はもちろん、周囲のキャラまで表情が変わります。
参考動画を撮ってきたので、以下に載せておきますね。
開発の方のたゆまぬ努力のおかげで、会話に臨場感が生まれています
キャラクターの細かな振る舞いを見ることができるので、生命力を感じられましたね。
また、バトルシーンに関してもカットインや集中線の利用、
ブラックアウトとホワイトアウトの使い分けなど、メリハリを持たせる様々な工夫が見られます。
本作の演出担当の方は素晴らしい仕事をされていると感じました。
美麗なグラフィック
アントリはグラフィックも非常に美麗です。
解像度がフルHDなのでフルスクリーンでも精細に表示されますし、
特殊能力のエフェクトも非常に綺麗です。
有葉氏の描くキャラクターは万人向けのビジュアルで、
キャラクター造形に関しても隙の無さを感じますね。
以上が本作の魅力でした。
- とにかく先が気になるシナリオ
- 細かく凝った演出
- 美麗なグラフィック
未プレイの方にはぜひプレイしてほしいおすすめのタイトルですね。
欠点
評価の高い本作ではありますが、2つほど欠点があります。
動作が重く、バグが起こりやすい
本作はわりとバグが起こりやすいです。
立ち絵がいつまでも表示されなかったり、強制終了するなどの報告は結構見受けられました。
私が実際に起こったのは、
- BGMが二重再生される
- 立ち絵が重なって表示される
の2つでした。
私のPCは推奨スペックを満たしていたんですが、1度だけ発生したんですよね。
ちなみに立ち絵が重なるバグに関しては、初めて経験しました。
なんか立ち絵の表示が遅くて「あれ固まったかな?」と思っていたら、突然全員重なって出てきましたからね。
軽くホラー味を感じてビビリましたw
一部のCGがEXTRAモードで観賞できない
本作はEXTRAモードに全てのCGが登録されません。
具体的には回想時のセピア調のCGですね。
回想のCGはほとんど登録されないので、後で見返すことができないのは残念に思いました。
以上2つが本作の欠点でした。
1つ目の欠点に関しては修正パッチが配布されたので、ある程度は改善されました。
これから始める方は適用をお忘れなく!
アントリは素直に「良質なシナリオゲー」と言えるデキでしたので、
シナリオゲーを求める方はぜひプレイしてみてください。
エッチシーン
本作のエッチシーンはなかなかエロいですが、実用性はあまり高くないですね。
各ヒロインに3枠しかシーンがありませんし、尺もそこまで長くありません。
本作はシナリオゲーなので、エッチはあくまでサブと捉えておきましょう。
おすすめフェラシーン
なぜ、いきなりおすすめのフェラシーンを紹介するのか。その理由は一つしかありません。
私はフェラが好きだからです!
なので、私のブログではこの項目は必ず設置されます。よろしくお願いします。
「レイリのご奉仕フェラ」
いやー良いですね。
この上目遣いで見つめてくるのたまりません。最高でした。
……ちなみにですけど、本作はヒロインがモノを咥えながら話しまくるので、
ボイスだけでは何を言っているのか全くわからなくなるのが地味に困りものでした。
エッチシーン中に必死で目を凝らしてルビを読む自分の姿が、なんか滑稽に思えてきますw
Q&Aコーナー
『アンラベル・トリガー』をプレイするにあたって、出てきそうなご質問にお答えします。
Archiveさんの作品で、本作からプレイするのはアリでしょうか?
アリです。
Archiveさんの作品は本作がデビュー作なので問題ありません。
ほとんど同じスタッフで制作された作品として、
Aino+Linksブランドの『創作彼女の恋愛公式』がありますが、
アントリとの関連は全くありませんので、その点についても問題ないです。
推奨攻略順1を教えてください。ふふふ。
アントリの推奨攻略順は「レイリ→ソフィア→ミリセント」ですね。
本作のシナリオライターである工藤啓介氏がこの順番を推奨しており、
私もそれでプレイして最適だと感じました。
参考にしていただければ幸いです。
続編や完全版のリリース予定はあったりしますかー?
続編や完全版のリリース予定はおそらくありません。
ただ、企画諸々を務めている工藤啓介氏がXにて、以下のポストを投稿しています。
あまりの意見の多さにパンクしているので、発売から一か月後ぐらいにオンラインアンケートを行う予定です!
— 工藤 啓介@新作発表したよ (@nanyate_kudou) April 13, 2024
良かったら参加してください。
その結果によっては……何かがあるかもしれない
アンケートの結果が良ければ、FD的なものが出るかもしれないですね。
ちなみに『アンラベル・トリガー』とは関係ありませんが、
Archiveブランドの二作目もすでに動き始めているようです。(参考リンク:BugBug News)
どうやらフルプライス作品のようで。こちらも続報に注目したいですね。
その他、何か気になることやご質問などあれば何でもお気軽にご相談下さい。
コメントお待ちしております。
総評
『アンラベル・トリガー』は先が気になるシナリオ、目パチ口パクなどの細かな演出、
美麗なグラフィックが魅力のエロゲです。
- トロッコ問題などの倫理的な課題に興味がある方
- 種族の対立をテーマとしたシナリオゲーをプレイしたい方
- テンポの良い進行で物語を楽しみたい方
- ファンタジー世界を舞台とした作品が好きな方
- 主人公が社会人の作品をプレイしたい方
上記の方におすすめの作品ですね。
アントリは非常に丁寧に作られた作品であり、様々な部分が計算されていると思います。
ユーザーのウケをある程度意識していそうな点もところどころ見受けられました。
一つ一つの要素はどこかで見た感じで目新しさはなく、序盤は正直既視感が強かったのですが、
中盤から終盤にかけてはオリジナリティがどんどん出てきた印象です。結果としては全然楽しめた作品でした。
というかそんなことよりもソフィアが可愛かったですよ!
彼女がデレたときのギャップというか、破壊力はヤバいです。
シナリオが面白いのはもちろんですが、
ヒロインもしっかり可愛いので、気になる方はぜひプレイしてみてください!
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以下の記事は「エロゲ初心者の方」や、
「どのエロゲをプレイするか迷っている方」におすすめです。
以下の記事にエロゲのセール情報もまとめています。
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- エロゲを最大限楽しむための攻略順のこと。エロゲでは特定のヒロインのルートに作中の重要な要素が詰め込まれていたりするため、こういったヒロインは後ろの方に回すことが推奨される。基本的にパッケージのセンターを飾るヒロインが、この立ち位置であることが多い。
- 「ある人を助けるために、他の人を犠牲にするのは許されるか?」という倫理学上の課題。「暴走するトロッコをそのままにしておけば5人が死亡するが、分岐器を操作すればトロッコの進路を変更して5人を助けられる。しかし、変更先にいる1人は死亡する。このとき、トロッコの進路を変更すべきか?」という内容の思考実験。
- 株式会社ネクストン所属のアダルトゲームブランド。『創作彼女の恋愛公式』を手掛けた工藤啓介氏や有葉氏があかべぇそふとから退社し、新たに立ち上げたブランドである。
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